道路運送車両の保安基準 第8条(原動機及び動力伝達装置)の別添1, 97、95, 96
1. 適用範囲
(別添1) この技術基準は、次の自動車(最高速度が90km/h以下の自動車、緊急自動車及び被牽引自動車を除く。)に備える速度抑制装置に適用する。
(別添97) この技術基準は、次の自動車(最高速度が90km/h以下の自動車、緊急自動車及び被牽引自動車を除く。)であって平成15年8月31日までに製作された自動車に備える速度抑制装置に適用する。 2. 定義 2.1. 「設定速度」とは、速度抑制装置が作動しているときの自動車の目標平均速度をいう。
2.2. 「安定速度」とは、速度抑制装置の作動により安定した速度に制御されている状態における自動車の平均速度をいい、最初にその速度に達した時点の10秒後からさらに20秒以上後までの間の平均速度とする。
2.3. 「最大速度」とは、速度抑制装置の作動後の最初の半周期で自動車が到達する最高の速度をいう。
3. 一般規定 3.1. 速度抑制装置は、自動車がその設定速度で走行しているときに、アクセルペダル等の加速装置の操作により自動車が加速しないものでなければならない。
3.2. 速度抑制装置の設定速度は、90km/h以下の任意の速度とする。
また、速度抑制装置は、自動車使用者等により、設定速度の変更及び設定の解除ができるものであってはならない。 3.3. 速度抑制装置は、運行に十分耐え、かつ、誤作動等があった場合であっても、アクセルペダルの踏み込み量等の加速装置の状態によって定まる原動機の出力を超える出力を増加させるものであってはならない。
3.4. 速度抑制装置は、複数の加速装置がある場合には、全ての加速装置について作動するものでなければならない。
3.5. 速度抑制装置は、車両の主制動装置を作動させるものであってはならない。
また、速度抑制装置は、燃料の供給を最小とした後に限り、補助制動装置を作動させることができるものとする。 3.6. 速度抑制装置及びその作動に必要な接続部(分離することにより自動車が正常に運行できなくなる接続部を除く。)は、封印の取付け又は接続の分離に特殊な工具が必要な構造とすることにより、速度抑制装置の機能を損なう改変又は速度抑制装置への電力等のエネルギー供給の遮断が防止できるものでなければならない。
ただし、自動車が停止している間に、速度抑制装置の機能が、確認できるものについてはこの限りでない。 4. 試 験 4.1. 試験路試験 4.1.1. 試験自動車の状態
4.1.1.1. タイヤの空気圧は諸元表に記載された値であること。
また、タイヤは慣らしを行ったものであること。 4.1.1.2. 試験自動車の重量は車両重量であること。
ただし、スペア・タイヤ及び車両積載工具を備えた自動車にあっては、これらを取り付けた状態で試験を行うことができる。 4.1.1.3. 試験は、試験自動車に運転者及び計測員を乗車させ、また、試験機材を積載した状態で行うことができる。
4.1.2. 試験路の特性
4.1.2.1. 試験路表面は平坦舗装路とし、勾配は2%を超えず、かつ、1%を超える変動がないこと。
ただし、横断勾配によるものを除く。 4.1.2.2. 試験路表面には水たまり、積雪又は結氷がないこと。
4.1.3. 天候条件
4.1.3.1. 平均風速は6m/s未満であること。また、最大風速は10m/sを超えないこと。
4.1.4. 加速試験 4.1.4.1. 試験方法 4.1.4.1.1. 自動車について、設定速度より10km/h低い速度からアクセルペダルを全開にする等加速装置を最大限に操作し、可能な限り急加速させ、自動車の速度が安定した後も加速装置の操作状態を30秒以上維持する。
試験中の自動車の速度を記録し、速度-時間線図を作成する。 この場合において、速度の測定精度は±1%以内、時間の測定精度は0.1秒以内であること。 4.1.4.1.2. 試験は理論的に設定速度を超える速度で走行しうる全ての変速比において実施する。
4.1.4.2. 判定基準
この試験において、自動車の速度は、次の要件を満たさなければならない。
4.1.4.2.1. 安定速度は設定速度に5km/hを加えた速度及び90km/hを超えてはならない。
4.1.4.2.2. 最初に安定速度に達した後、最大速度は安定速度に1.05を乗じた速度を超えてはならず、(以下の文は別添1にのみ適用)また、速度の変化率の絶対値は、0.5m/s2を超える状態が連続して0.1秒を超えてはならない。
4.1.4.2.3. 最初に安定速度に達してから10秒以内に、下記の要件を満たすように制御されなければならない。
4.1.4.2.3.1. 速度の変化の幅は、安定速度の4%に相当する速度又は2km/hのうちいずれか大きい方を超えないこと。
4.1.4.2.3.2. (別添1のみ)速度の変化率の絶対値は、0.2m/s2を超える状態が連続して0.1秒を超えないこと。
4.1.5. 定常速度試験方法(別添1のみ) 4.1.5.1. 試験方法
4.1.5.1.1. (a) 自動車について、アクセルペダルを全開にする等加速装置を最大限に操作し、可能な限り急加速させ、自動車の速度が安定した速度となった後400m以上走行する。
安定した速度となった後の自動車の平均速度を測定する。 (b) 次に、同じ試験路上を同様に反対方向に走行する。 (c) 往復の試験走行で測定した2つの平均速度の平均を平均安定速度とする。 この一連の試験(a~c)を5回実施することとする。 この場合において、速度の測定精度は±1%以内、時間の測定精度は0.1秒以内であること。 4.1.5.1.2. 試験は理論的に設定速度を超える速度で走行しうる全ての変速比において実施する。
4.1.5.2. 判定基準
この試験において、自動車の速度は、次の要件を満たさなければならない。
4.1.5.2.1. 平均安定速度は、各試験走行において、設定速度に5km/hを加えた速度及び90km/hを超えてはならない。
4.1.5.2.2. 各試験走行で得られたそれぞれの平均安定速度の最大値と最小値の差は3km/h以下であること。
4.2. シャシ・ダイナモメータ試験 4.2.1. シャシ・ダイナモメータの条件
等価慣性重量は、試験車両の車両重量の±10%以内の精度で設定すること。
4.2.2. 加速試験 4.2.2.1. 試験方法 4.2.2.1.1. 自動車について、設定速度より10km/h低い速度からアクセルペダルを全開にする等加速装置を最大限に操作し、可能な限り急加速させ、自動車の速度が安定した後も加速装置の操作状態を20秒以上維持する。
試験中の自動車の速度を記録し、速度-時間線図を作成する。 この場合において、速度の測定精度は±1%以内、時間の測定精度は0.1秒以内であること。 4.2.2.1.2. 試験中のシャシ・ダイナモメータの負荷は、試験自動車の前進走行抵抗±10%以内の精度で設定する。
また、負荷は、国が適当であると認める場合に限り、原動機の最高出力に0.4を乗じたものとすることができる。 4.2.2.1.3. 試験は理論的に設定速度を超える速度で走行しうる全ての変速比において実施する。
4.2.2.2. 判定基準
この試験において、4.1.4.2.で規定する要件を満たさなければならない。
4.2.3. 定常速度試験 (別添1のみ) 4.2.3.1. 試験方法 4.2.3.1.1. 自動車について、アクセルペダルを全開にする等加速装置を最大限に操作し、可能な限り急加速させ、自動車の速度が安定した速度となった後400m以上走行する。安定した速度となった後の自動車の平均速度を平均安定速度とする。この一連の試験を5回実施することとする。この場合において、速度の測定精度は±1%以内、時間の測定精度は0.1秒以内であること。
4.2.3.1.2. シャシ・ダイナモメータの負荷は原動機の最高出力から最高出力に0.2を乗じたものまで連続的に変化させる。
4.2.3.1.3. 試験は理論的に設定速度を超える速度で走行しうる全ての変速比において実施する。
4.2.3.2. この試験において、4.1.5.2.で規定する要件を満たさなければならない。
4.3. エンジン台上試験 本試験方法は、本試験が試験路試験における測定と等価であると国が認める場合に限り実施することができる。
5. 表示 備考 1 形状は、車両の後面に表示するものについては直径が130mm以上の円、
車室内に表示するものについては直径が30mm以上の円とする。 2 文字の高さは、車両の後面に表示するものについては25mm、
車室内に表示するものについては7mm以上とする。 3 色彩は、文字を黒色とし、地を黄色とする。
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道路運送車両の保安基準の細目を定める告示【2003.09.26】
別添95 自動車の走行性能の技術基準 |
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1. 適用範囲
この技術基準は、内燃機関を原動機とする自動車(大型特殊自動車、小型特殊自動車及び軽自動車並びにセミ・トレーラ、フル・トレーラ等の連結車両及び専ら乗用の用に供する乗車定員10人以下の自動車を除く。)に適用する。
2.走行性能
2.1. 自動車の走行性能は、次表の左欄に掲げる自動車の区分に応じ、それぞれ同表の右欄に掲げる式に適合していること。 ただし、専ら構内等の特殊な地域において使用されるもの、特殊な用途のもの等については、本基準を緩和することができる。 この場合において、必要なときは、制限を附加することができる。
2.2. 昭和48年4月1日以降昭和49年3月31日以前に製作された自動車の走行性能は、2.1.の規定にかかわらず、次表の左欄に掲げる自動車の区分に応じ、それぞれ同表の右欄に掲げる式に適合していればよい。
2.3. 昭和48年3月31日以前に製作された自動車の走行性能は、2.1.の規定にかかわらず、2.2.又は次表の左欄に掲げる自動車の区分に応じ、それぞれ同表の右欄に掲げる式に適合していればよい。
2.4. 昭和49年3月31日以前に製作した自動車であって、貨物の運送の用に供する自動車及び専ら乗用の用に供する乗車定員11人以上の自動車以外の自動車の走行性能は、2.1.から2.3.までの規定に適合することを要しない。 |
道路運送車両の保安基準の細目を定める告示【2003.09.26】
別添96 連結車両の走行性能の技術基準 |
1. 適用範囲
2. 走行性能
2.1. 連結車両の走行性能は、次の各式のいずれにも適合していること。 Gcw≦164.51×kW{121×PS}-1900
Gcw≦4×Wd
Gcw:連結車両総重量 kg
PS :牽引自動車の原動機の最高出力 PS
Wd :牽引自動車の駆動軸重 kg
2.2. 昭和49年3月31日までに道路運送車両法第7条の規定により登録を行った牽引自動車(昭和49年4月1日以降に道路運送車両法第16条の規定によるまっ消登録を行ったものを除く。)で牽引される連結車両にあっては、2.1.にかかわらず、次のいずれの式にも適合していればよい。 Gcw≦220.26×kW{162×PS}-2530
Gcw≦4×Wd
2.3. 最高速度が60km/h以下の牽引自動車で牽引される連結車両(被牽引自動車が車両総重量50t以上のセミトレーラ及びポール・トレーラのものに限る。)にあっては、 2.1.及び2.2.にかかわらず、次のいずれの式にも適合していること。 GCW≦(263.77×kW{194×PS}-3040)×50 / Vmax
GCW≦ 0.9×Q×r/{R×(0.125+0.01)×9.80665}
Vmax :牽引自動車の最高速度(1km/h未満は切捨てる。) km/h
Q :牽引自動車の原動機の最大トルク N-m
r :牽引自動車の最低変速段における全減速比
R :牽引自動車の駆動輪の有効回転半径
(動荷重半径が定められているものにあってはその値を用いるものとする。) m 2.3.を適用して連結車両総重量を算定した牽引自動車にあっては、その前面及び両側面に以下の様式による標識を見やすいように表示しなければならない。
1.色彩は縁線及び文字を黒色とし、縁及び地を白色とする。
2.寸法の単位はmmとする。
3.表示する場所は、車体前面及び両側面の見やすい位置とする。
2.4. 農耕作業用自動車で牽引される連結車両(最大積載量を有するトレーラで構成されるものに限る。)にあっては、2.1.から2.3.までにかかわらず、次のいずれの式にも適合していること。 Gcw ≦ (188.99×kW{139×PS}-270)×25 / Vmax
Gcw ≦ 4×Wd
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