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必須要求事項への「適合性の推定」by「整合規格」

さて、CE marking では必須要求事項を満たし、”適合性の推定”を得なきゃいけませんが、、、

 

そこでよく使われる「整合規格」について少しまとめておきたいと思います。

 

1.Union Harmonisation Legislation「連合整合法」(以下、UHL)の大部分は、

公共の利益である必須要求事項にその立法的な整合を制限しています。

 

→ 公共の利益とは、

消費者、労働者などのユーザーの健康と安全の保護、財産、資源、環境保護

 

2.必須要求事項は、

達成すべき結果、もしくは対処すべきHazard「危険源」を定義しており、

  技術的にどの様に解決するかは特定しません。

 

  → 製造業者は、

対処すべきHazard「危険源」と達成すべき結果を明確にする事で

    高レベルの保護を提供し、またそれを保証しなければならない。

    

ここで、

 Hazard「危険源」とは、

物理的、機械的、可燃、化学的、電気的、生物的、衛生的、放射能、精度的

なもの

 

 達成すべき結果:①、②を組み合わせて記載される

  ① 製品の材料、形状、構造、生産工程、取扱説明書

   と言った製品そのものと製品の性能

  ② 主要な保護目標

 

 製品に適用されるUHL:

公共の利益毎にUHLが定められている(つまり、製品毎ではない)

     → 製品に適用されるUHLは一つとは限らない

 

従って、製造業者は、製品がもつRisk「リスク」を分析し、その上で、EUで発効されているUHLを確認し、EU市場に投入する製品に求められる必須要求事項を確認しなければならない。

 

(時間と根気さえあれば、だいたいの判断はできるようになりますが、法律の解釈などの専門的な判断も必要となり、また対外的にキチンとやった感を出す為、これは第三者認証機関に依頼して行う事が多い様ですね)

  

 また、ここで行われる“Risk「リスク」の分析”については、Technical Document「技術文書」(以下、TD)を作成してその結果を残し、どの様にRiskを抽出し、その一つ一つに対して、どの様に対応して、必須要求事項を満足させたのか(“適合性の推定”をどの様に行ったのか)を記載しなければならない。

=> つまり、Risk Assessment「リスクアセスメント」(以下、RA)です。

 

ここで、“整合規格を適用”する事がRAを省略する一つの手段となります。

ただし、“整合規格の一部のみを適用”、もしくは“整合規格がその製品すべてを網羅していない”場合には、適用されていない部分の必須要求事項に対してRAを行わなければならない事となります。(つまり、“整合規格の適用”は“任意”)

 

 また、製品が整合規格のScope「適用範囲」に完全に一致しており、また整合規格がそのScope「適用範囲」内における全てのRiskを取り扱っている場合でも、その製品のRisk分析に対しての全責任は製造業者が負います。

さらにこの場合でも、製品のRA文書化は必要ですが、この場合には、文書化は整合規格の付属書を使い、“必須要求事項の元となるHazard毎に、その整合規格に一致してRiskを排除もしくは低減している事”を記述しなければなりません。

 

 整合規格は、技術的な解決策を示していますが、それは従来の技術や一般的な技術を基に作られています。技術的な進歩によって、別の手段で必須要求事項を満足させ、整合規格の解決策を採用しない事も当然あり得ます。

 

ここで言う整合規格とは、“EU官報にてUHLとの整合がヒモ付けされた規格”となり、整合規格を適用する場合には、必須要求事項に対する“適合性の推定”が得られますが、その規格が“整合規格としてのステータスを持たない”場合には、この“適合性の推定”は得られません。

すなわち、EU官報「OJEU」で整合規格としてのステータスを与えられた規格のみにより、その製品に該当するUHLへの“適合性の推定”は得られる

 

ここで、整合規格について、Regulation (EU) No1025/2012 での定義とステータスを紹介しておきます。

 

Article 2 Definitions「定義」より、

(1) Standard「標準」

:標準化団体によって採用され、強制ではないが

継続的な適用を目指して採用される技術仕様

(a) International Standard「国際規格」

          :国際標準化団体(ISO、IEC、ITU)によって採用される規格

(b) European Standard「欧州規格」

     :欧州標準化機関(CEN、Cenelec、ESTI)によって採用された規格

(= EN)

(c) Harmonied Standard「整合規格」

     :UHLの適用の為、委員会の要求に基づいて採用される欧州規格

      => EU官報「OJEU」でUHLにヒモ付けされたEN

(d) National Standard「国家規格」

     :国家標準化団体によって採用される規格

(例:DIN(ドイツ)、UNI(イタリア)、NF(フランス)など)

 

 余談になりますが、規格は別の規格をそのまま引用する場合には、元の規格番号の頭に発行元の記号を付けて採用されます。

 例えば、国際規格の

  ISO 121002010

   Safety of machinery

         — General principles for design

         — Risk assessment and risk reduction

は、欧州規格の、EN ISO 12100:2010 として整合規格となり、

また、各加盟国で実装できるように、

例えば、ドイツでは DIN EN ISO 12100:2010 として採用されています。

 

この実装は上記、Regulation (EU) No1025/2012 の中で決められている規則です。

 

 この整合規格は、例えば Directive 2006/42/EC「機械指令」では、

A、B、Cタイプ規格と言った様に分けて作られています

整合規格は、委員会からはNotice「通知」で発行されるのでちょっと探しにくいですね、

「機械指令」の場合は、

Commission communication in the framework of the implementation of the Directive 2006/42/EC of the European Parliament and of the Council on machinery, and amending Directive 95/16/EC (Publication of titles and references of harmonised standards under Union harmonisation legislation)

 OJ C 92, 9.3.2018, p. 1

のタイトルとなっていますね。

 

A-type規格

:UHLの全てに適用可能な基本概念・用語・基本原則であり、

必須要求事項に適合する為のフレームワークを示すもので、

これだけで製品の完全な“適合性の推定”を得られる規格ではない。

B-type規格

           :UHLの幅広い種類の製品に適用可能な手段を示します。

            また、C-type規格を適用したり、RAで導き出された手段に対しての

“適合性の推定”も得られます

C-type規格

           :特定のカテゴリに対する必須要求事項への対処手段が提供され、

規格が示す適用範囲内において完全な“適合性の推定”が得られます。

            このC-type規格で示される仕様は、

A-type規格、B-type規格の仕様よりも優先的と考えられます。

 

参考文献:The‘Blue Guide’ on the implementation of EU products rules2016

ブルーガイド2016年版」